グローバル環境での信頼関係の作り方(その3)

2024.10.22

2024.10.22

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(当記事はセミナー動画を元に書き起こしをしたものです。)

グローバル環境での信頼関係の作り方(その1)

グローバル環境での信頼関係の作り方(その2) 』から続きます。


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グローバルビジネスだからこそ気を付けたいこと

信頼関係の構築は、国内で日本人同士が仕事をする際にも必要です。
これまでお話ししてきたことは、日本でビジネスパートナー同士が信頼関係を構築するためにも参考になることです。  

グローバルビジネスの現場では、自分が英語(または、その他の言語)を使うか、あるいは、相手が母国語ではない日本語を使ってコミュニケーションを行うかという点が、国内でのビジネスとの大きな違いです。さらに、各人が持つ「当たり前」が、人により国により様々に異なる点が、言語以上に大きな違いとなります。生まれ育った土地が異なり、背景の文化が異なり、学校の教育システムも異なることより、それぞれの持つ「常識」が違うのが、ある意味当然と言えるでしょう。このような状況下での信頼関係構築のために、特に気をつけたいことを解説します。


■ 初動を誤らない

信頼関係の構築には時間がかかります。それにもかかわらず、人間関係が築かれていない初期の段階で信頼を大きく崩すような言動をしてしまうと、 残念ながらリカバリーはかなり困難です。

グローバルビジネスの環境下では、同じ言語を話し、文化や社会的背景も共有している日本人同士で働く場合とは異なる次元の配慮をもって、仕事を開始することが肝となります。

外国人の部下を持つケースであれば、どんなに忙しくても一対一(1on1)の会議などで双方が理解しあう機会を持つように心がけましょう。

仕事内容について質問はないか、仕事の進め方や報告の仕方について、双方の理解が合っているかを確認し、さらに、自分のコミュニケーション量は適切か、困っていることはないかなど、話すべきことはたくさんあります。

自分の仕事も忙しく、また英語で話さなければならない場合、こういったフォローはついつい後回しになりがちです。一対一といっても、最初はスムーズに進まないかもしれません。

それでも、こういったきめ細やかなフォローは、必ず信頼関係の構築に役立ちます。たとえ英語が上手でなくても、こちらの誠意は伝わります。

■ 立場の違いを超え、新たな学びを得る

グローバルでビジネスを行う場合、相手と自分の立場は様々なケースが想定できます。

自分が日本本社から海外に送られている駐在員の場合もありますし、自分は日本にいて海外にいる取引先と仕事をする場合や、日本にいる外国人を部下に持つ場合などもあります。

どのようなケースでも、自分と相手の立場の違いを理解し、自分が優先すべきことや、日々の業務で心がけること、自分の信念のようなものを確立しておくことが効果的です。

一例として、本社から派遣された駐在員であっても、日本本社の意向ばかりを気にするのではなく、駐在している地域の代表として、しっかり意見を言う姿勢をもつことがあげられます。そのためには、現地の事情を十分に理解する必要があります。

駐在員は、各地域で実際に起きていることを理解した上で本社に提言し、本社は、本社だからこそ有するリソースや情報を活用し、各地域からあがってくる情報を活かして、最大のパフォーマンスをあげるための施策を構築する。そういった好循環が、グローバル市場で戦っていくためには不可欠ではないでしょうか。

日本人の考え方と、非日本人の考え方のどちらが正しいのかという次元の話ではありません。双方の異なる考え方をぶつけ合いながらより良い価値を生みだしていくことが、異なる文化や社会的背景を持つ人たちとグローバルビジネスで働く醍醐味でもあります。


■ 伝えるべきことはわかりやすく言語化する

前述したこととも重なりますが、グローバルで働く場合、コミュニケーションの内容は、誰にでもわかるように言語化することが大切です

日本人同士であっても、あうんの呼吸で仕事をしていく時代は終わりました。相手が自分と同じ理解ができると勝手に推定するのではなく、誰が聞いても同じ理解ができることを目的にした、わかりやすいコミュニケーションが必要です。

相手が外国人であればなおさら、このような配慮が必要です。相手の立場に立って、どのような情報が必要とされているのか、どのような説明の仕方が適切なのか、常に考えながら日々のコミュニケーションを行いましょう。こういった行動は、必ず信頼につながっていきます。

日本人が書いたビジネス文書をそのまま翻訳すると、非常にわかりにくいケースが多いと言われます。わかりやすい英語にするためには、主語を明確にするだけでなく、論理的に展開された、比較的短い文章にするだけでも、格段にわかりやすい内容に変わります。また、不用意に、日本だけで通用するようなことわざや事例を使わないことも、有用な配慮になります。こういったことを日頃から気にかけているだけでも、コミュニケーションのスタイルがグローバルビジネスで通用するものに改善されていきます。

最後に

グローバルビジネスに多く携わってきたプロフェッショナルとして、グローバルビジネスで成功するために不可欠な信頼関係の構築について解説してきました。 改めて振り返ると、内容はどれも、国内で日本人同士で仕事をするビジネスパーソンにも参考になるものです。信頼されるビジネスパートナーになるために求められる根底の部分は、世界共通のものだと言えるでしょう。

信頼関係の構築には、相応の時間がかかります。スピード重視のビジネスの世界で、そんなに悠長なことは言っていられないと感じる人もいるかもしれませんが、時間をかけて築いた信頼は盤石です。

ビジネスEメールの書き出しやそのタイミング、初対面のあいさつ、会議の前のスモールトーク、会議の進め方から、1on1の会議での配慮まで、そのすべてがあなたの人となりを出し、信頼を構築する機会になります。その意識を忘れず、グローバルビジネスにのぞむことが大事です。

ビジネスでは結果を出すことが信頼を強固にしますが、そこに至る過程を充実させることで、ビジネス上の永続的な良い関係をつくることができると、私たち GCRM は考えています。