『 グローバル環境での信頼関係の作り方(その1) 』から続きます。
* * *
グローバルビジネスで役立つ信頼関係の構築
スモールトークなどを駆使して、基本的な人間関係ができた後、さらに必要になるのが信頼関係です。具体的な案件の成功や、日々の業務での高いパフォーマンスにつながります。
信頼関係は日々の仕事を通じて少しずつ構築されるもので、一朝一夕にできるものではありません。
日々の業務、メールや会議でのコミュニケーションを通じて信頼関係を構築するために必要な大きな要素を3つご紹介します。
■ 責任範囲の明確化と適切な時間軸
ビジネスでは、まずは自分に与えられた責任をしっかり理解し、適切な時間軸で行動することが非常に大切です。
自分の責任範囲を正しく理解することは非常に大事で、勝手な思い込みは危険です。ローコンテクストな環境で仕事をする場合、あうんの呼吸でわかりあうことは困難です。明確な合意がないまま、自分や相手の責任範囲を推し量りながら仕事を進めるのは非常にリスクが高いです。お互いの期待値がズレたままで業務を進めてしまうと、後々大きな問題に発展しかねません。そこまでの大きな問題にならなくても、ちょっとした理解のズレが蓄積していくと、上司や同僚との人間関係のストレスにもなりかねません。
自分のすべき業務範囲を明確に理解し、実行に移すこと。その積み重ねが、信頼につながります。
具体的な例としては、業務内容に応じ、すぐに返信すべき内容のメールは後回しにしないで、すぐに返信することが必要です。慎重に考えてから返信すべき内容であれば、まずメールを受け取った返事だけを返し、返信する内容は1~2日置いて数回読み直し、その上で返信します。相手に周知している長期休暇等を除き、数日以上メールに何も返信せずに長考する習慣は信頼を損ないかねません。
外国人の部下を持つ人や、海外支社に指示を出す管理職にある人は、相手がしっかり理解できるまで、業務内容をかみ砕いて説明する責任もあります。相手が本当に理解してくれたのか不安な場合は、相手の理解を確認するために、自分の言葉で理解したことを言ってもらうなどの工夫も必要です。そういった気配りが、信頼構築にもつながります。
■ 自分の仕事にコミットする
自分に任された仕事に対し、最低限の作業ですませようとする姿勢や、いつまでも完了せず、時間稼ぎをしてうやむやにしているようでは、周囲の信頼を得る事はできません。
自分が一度任されたことは、たとえ不本意ながら引き受けなければならなかったことでも、最後までやり抜く一貫した姿勢は、信頼関係の構築につながります。
ビジネスですから、成功することばかりではありません。また、成功・不成功の可否が判断しにくい業務も多くあります。
そういった仕事であっても、業務を進めるにあたって、あなたがどのような配慮をしてきたか、やり抜くまでにどれだけ努力してきたか、ビジネスパートナーは結果だけでなく過程も重視しています。
難しい問い合わせに対しても、必ず返事をする。言いにくい内容でも、誠意をもって説明する。相手の期待通りに物事が進まなかった場合、隠さず正直に話すと同時に、これからどうすべきかを提案する。一例ですが、そういった日々のやりとりが、信頼関係につながります。
英語で話すことは得意ではなくても、自分の仕事に期待以上のパフォーマンスをあげることにコミットしている人は、多少時間がかかったとしても、必ず周囲の信頼を得ます。
■ 相手をリスペクトする
信頼関係の構築には、立場を超えて相手をリスペクトすることも非常に大事です。
ここでいう、リスペクトは、「尊敬する」というより、「相手の立場、職種、経験などすべてを含んで尊重する」という姿勢です。
相手の経験が少ないからうまくいかないのだとか、日本人だったらこうするのにとか、自分の立ち位置からの視点で、相手の言動の批判や評価をするのは危険です。
様々な環境で仕事をしていると、誤解を受けることもあります。また、期待通りに物事が進まないことも多くあります。そこであなたがどのような姿勢をとるのか、周囲の人は見ています。一方的に相手を批判したり、視野の狭い言動をすると、信頼関係は大きく崩れてしまうでしょう。
先ずは相手を批判する前に、自分自身の言動を振り返りましょう。これからどうすべきなのか、何か参考になることがあるはずです。