(当記事はセミナー動画を元に書き起こしをしたものです。)
国内外を問わず、誰かと仕事をする場合に不可欠なのが、相手との信頼関係です。
日本人同士であっても、ビジネスパートナーとの信頼構築にはある程度時間がかかるものです。文化的、社会的背景の異なる外国人ビジネスパートナーと信頼関係を築くことは、さらに難しいことと考えて間違いはありません。
今回のブログでは、グローバル環境で幅広い分野での実務経験を有する GCRMのメンバーが、グローバルビジネスで成功するための、グローバルビジネスで役立つ信頼関係構築のロードマップを解説します。(GCRMのメンバーは、グローバル企業、海外ITベンチャーから人材育企業、外資系企業の財務・経理などでの実務経験を有します。)
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まずはスモールトークで人間関係の構築
見知らぬ相手と、いきなり信頼関係を構築するというのは、日本人同士でもハードルが高いものです。信頼関係を築いていく前提として、まずはコミュニケーションを通じて人間関係を深めることから始めてみましょう。
その”人間関係“ を深めるには、ちょっとした会話を相手と楽しむことが効果的です。英語のスモールトーク、日本語では雑談と言われるものです。
ビジネスミーティングのアイスブレークとしても有効なスモールトークですが、英語ができる日本人ビジネスパーソンでも苦手だと言う人が多くいます。
ビジネスの本題は何を話すべきか明確な上、事前に資料を準備し、本番にそなえることができます。そもそも、事前にある程度何を話すのか、双方での共通の理解があるので、極端な誤解は避けることができます。一方、スモールトークの話題は多岐にわたり、自分には背景知識のまったくない話題がのぼってくることも。
相手が話す内容を、すべて理解するのは難しい場合も多いですが、ちょっとしたスモールトークができるスキルは、人間関係構築の過程では最強です。
あなどれないスモールトーク! 余裕と自信をみせるきっかけに
アイスブレークや近況報告が目的であることが多いスモールトークの話題には、天気や物議を醸さない時事問題などが多いです。
たわいのない話題のようでも、ちょっとした会話の中から、実は相手の人となりや興味、問題意識などを垣間見ることができます。相手の考え方や価値観を理解することは、ビジネス上でも重要な参考情報となります。
ちょっとしたスモールトークができることは、自分に余裕があることのあらわれでもあります。英語の会議の前に内心は緊張していても、それを表に出すのは得策ではありません。準備が不十分だと思われたり、自信がないと捉えられてしまうからです。
グローバルビジネスで成功するには、自信と余裕の姿勢を持つことも不可欠です。
気の利いた雑談ができる人は、実は準備している
余裕をもってスモールトークといっても、それを英語で行うのは簡単ではありません。
英語でのスモールトークが上手い人は、実は事前に話題を準備していることもあります。
原稿を書くまでに至らずとも、会議に参加するメンバーがどのような人たちかを考え、適切な話題を事前に考えることは誰にでもできることです。男性同士であれば盛り上がるかもしれない、ゴルフや野球といったスポーツの話も、女性参加者がいる場合は、もしかしたら、食べ物や趣味など、より一般的な話題にするほうが受け入れられやすいです。
政治、宗教や、プライベートに立ち入る話題はタブーです。常識的な話題を準備して、自分の意見を軽く言えるようにしておき、相手への質問を考えておくなど、少しだけ事前の準備をしておきましょう。
ちょっとした努力からの会話の積み重ねが、人間関係を築いていきます。
どんな相手にも興味をもとう
一緒に仕事をする相手は、必ずしも自分が選べるわけではありません。時には話しにくい相手や、なんとなく苦手なタイプの人とビジネスをしなければならないこともあるでしょう。ビジネスパートナーの国の政治的思想や文化に共感できない場合もあるかもしれません。そのような場合、最低限のビジネスの会話だけにしたい、スモールトークで共通の話題などは不要と思ってしまうかもしれませんが、ビジネスを上手く遂行したい場合は、その先入観は一旦捨ててみましょう。
グローバルビジネスで成功するために必要な人間関係、そして信頼関係の構築には、相手に興味を持つことが欠かせません。少しコミュニケーションをとってみると、第一印象とは異なるタイプの人も多くいますし、時間と努力を費やすことで盤石な信頼関係につながる場合もあります。
相手の国の文化や価値観については、ホフステッドのような統計的なものを理解して、相手の国の一般的な特徴を理解することも役立ちます。また、海外駐在の経験者の話を参考にすることも役立ちます。
一例として、中国で同僚に食事に誘われたら、折半すると主張して相手のメンツをつぶすような失敗をするのではなく、気持ちよくご馳走になる。次の機会に自分が誘ってご馳走することが、適切な振る舞いです。現地での文化的背景を事前に理解しておくことが役立ちます。
人間関係構築のための秘訣として最後にアドバイスを一つ。
特に管理職以上のシニアの方に多いのが、真剣さが難しい表情として顔に出てしまい、必要以上に相手にプレッシャーや近寄りがたさを与えているケースがあります。
相手を知る努力とあわせて、自分のどのような印象を相手に与えたいか、信頼できる人物だと思ってもらうために、自分の表情はどうあるべきか、こちらもあわせてしっかり考えてみてください。
上記のアドバイスの解決策はとても簡単です。
たとえば、スピーチなどをしなければならない場合、事前に一度、スマートフォンでご自身の動画を撮って、その表情を確認してみてください。ご自身でも「怖い顔だな」と思ったら、たとえば、スピーチは、そのまま真面目な顔で行うとしても、話の最後にニコッと笑顔を見せていただくだけでも十分です。むしろ、そのギャップがかえって人間味を醸し出して、好印象につながるかもしれません。
『 グローバル環境での信頼関係の作り方(その2)』に続きます。