あけましておめでとうございます。GCRMパートナーズの杉山です。
GCRMパートナーズは、グローバルコミュニケーションに関連する研修の提供や、企業の次世代リーダー人材育成のサポートをしている会社です。
『空雨傘』というフレームワーク
2000年代の初めより、約20年間に渡って企業の次世代リーダー人材の育成をサポートしています。沢山の講師の皆さまと一緒に研修プログラムを提供してきましたが、その中で「これは、どのような実務に適用しても使えるなぁ」と目を惹くフレームワークがあります。
この記事では、その1つである『空雨傘』をご紹介します。
『空雨傘』は、戦略コンサルファームの1つで使われている有名なフレームワークで、私は、約10年前にそのコンサルファーム出身の講師から学びました。
『空雨傘』とは、つまり「空を見たら、雨が降りそうだから、傘を持って行こう」という思考の流れを意味するもので、飛躍のないロジックを作るために有用なフレームワークです。
1つ1つの意味は、以下のようになります。
空:事実(晴天であるとか、雲が出ているなどの、事実の分析結果)
雨:意味・解釈(「ものすごく暑くなりそう」・「雨が降りそうだ」など、その事実の解釈)
傘:打ち手(解釈した結果から、どういう打ち手を打ち、課題に対応するか)
次世代リーダーの育成研修では、このフレームワークを使って、その会社や部門を取り巻く外部・内部環境を分析し(空)、その結果、どのようなことが起こるかの意味を解釈し(雨)、それに対する打ち手(傘)を提言します。
しかし、このフレームワークは、研修の提言策定だけに使うにはもったいないくらい役立つフレームワークで、自分自身についての今後を考えたり、自分の仕事の進め方を考えたり、または人に何かを説明するためのロジックを作るとき等、あらゆることに適用することが可能な枠組みだと思います。
新年を迎え、あなたの『空雨傘』を考えてみませんか?
このフレームワークがとても役立つと考える要因は、主に次の2つです。
まず、一般的に私たちは戦略(この先の進め方)を考える時に、一足飛びに「傘」を考えがちです。「傘」ありきで、「じゃあどんな色の傘にするか?」とか「どんな大きさの傘にするか?」を考えることに注力しがちですが、このフレームワークを正しく使うことで、空や雨をしっかり考えれば、「そもそも、本当に「傘」って必要なんだっけ?」という、本質的な課題に目を向けることができるようになります。
次にこのフレームワークが有用だと思う点が、自由度(柔軟性)が高い点です。昨今、地政学的にも、経済も、政治も、世界中であらゆることが速いスピードで変化しており、たとえば、半年前に策定した戦略は、はたして今、正しいのだろうか? と思うことはありませんか?
このフレームワークを使えば、外部(内部)環境が変化したら、『空』の部分が変わったのだと理解して、再度『雨と傘』を考え直せばいいだけのこと。同じく、自分の解釈が違っていたと気付いた時点で、『雨』を考え直して。それに合った『傘』に変更すればよい。動きの速い、今の世の中にマッチするフレームワークだと考えられます。
同じ空(例:晴天)であっても、人により、状況により、解釈は異なります。これから大量の洗濯をしましょうという人にとっては嬉しい晴天でも、日焼けしたくない人や日光に弱い作物を作っている農家にとっては迷惑な晴天です。日焼け止めを塗りたくるとか、日よけの紙袋をつけるなど、なんらかの『傘』の打ち手を考えなければなりません。
同じフレームワークを使い、同じ事実(空)でも、状況により、また人により異なる解釈や打ち手を出すことができ「正解」はないところも、多様性を求める昨今の動きに合った考え方ではないでしょうか?
ということで、このフレームワークを使って、あなた自身の生活や仕事、キャリアについて、または、ご自身の所属する企業や仕事について、2025年の展望を考えてみませんか?
どんな「空」に目をつけましたか?
それは、あなたにとってどんな意味を持ちますか(雨)?
そして、それに対して、どんな打ち手(傘)を打ちますか?
現時点の結論は、あくまで今の方針。これを半年後、1年後に、改めてその結論とその時点の『空雨傘』を比較してみませんか?
混沌とした時代だからこそ、柔軟に考える
始まったばかりの2025年。
きな臭いニュースはそこここで耳にしますが、どんな1年になるのかは予測不能です。
そんな時代だからこそ、『空雨傘』のフレームワークを使って、論理的に考え、柔軟に変化に対応するのも悪いことではないかもしれません。
今年も、GCRMパートナーズをよろしくお願いいたします。